エクシブ箱根離宮 散策倶楽部
『地元民がご案内!箱根路地裏散策vol.13 小田原編③ ~白秋の散歩道を辿る~』
2014年6月18日(水)

空模様が怪しい梅雨らしいお天気のこの日、小田原を散策です。
今回は2名様と人数は少なかったですが、少ない分、手厚くご案内できるという特典付き!
散策倶楽部常連のお客様でしたのでわいわい楽しく散策させていただきました。皆様箱根離宮から揃って出発です!


今回はバスを乗り継ぎます。
エクシブ箱根離宮から小田原駅東口までバスで到着後、西口に移り、さらにわんぱくらんど行きのバスに乗り換えます。この時には、すでに雨がパラパラ・・・

さぁ、今回は、「言葉の錬金術師」とも呼ばれ、次々と世に傑作を残し、今でも広く民衆に愛されている童謡詩人・北原白秋の小田原での足跡を辿るツアーです。
1885年(明治18年)に熊本に生まれ、福岡の柳川で育った白秋は生涯で40回以上もの転居を繰り返し、上京するまでの19年間暮らした故郷・柳川に次いで長く居住したのが小田原の地でした。
そして、1942年(昭和17年)に57歳でその生涯を終えるまでに創作した1200編におよぶ童謡作品のうち、約半数の作品を小田原時代に創作しました。
今回、ご案内いただいたのは北原白秋研究家の竹村忠孝先生。雨の中、白秋が実際に歩いた散歩道をご案内いただきました。

竹村先生のマンツーマンの熱心なご案内に皆様、白秋ワールドにぐいぐい引き込まれていきます!

小田原市が整備した白秋の散歩道「からたちの花の小径」をご案内いただく、道すがら、ところどころに竹村先生監修の案内看板があります。
このような案内を見ながら、お散歩を楽しむことによって当時の情景が思い起こされます。


白秋の散歩道「からたちの花の小径」を歩いていると地面には、白秋の童謡「赤い鳥小鳥」にちなんだ「赤い鳥小鳥」のイラストが描かれています。
このイラストは、エクシブ箱根離宮のスケッチ倶楽部の講師を勤めている芳澤一夫先生が描かれています。

風情ある杉並木の間を抜けていきます。

あじさいもチラホラときれいな花を咲かせていました。

「からたちの花の小径」を抜けたところで、なにやら竹村先生の解説がはじまりました。
ここは浄土宗の古刹、伝肇寺(でんじょうじ)とそこに併設する「みみずく幼稚園」です。
ここと白秋との関係は・・・?

白秋が小田原に転居したのは1918年(大正7年)3月。33歳の時でした。
この年には、日本の児童文化運動の父と呼ばれる鈴木三重吉主宰の雑誌「赤い鳥」が創刊され、白秋はその童謡コーナーを担当することになり、充実した小田原時代の始まりの頃でした。
ちなみに同号には、芥川龍之介が小説「蜘蛛の糸」を掲載しています。
白秋は、10月には、この伝肇寺の一室を間借りし、翌年境内に「木菟(みみずく)の家」という茅葺の家を建てました。入り口が「鼻」で、その両側の小窓が「目」に見えたことから、「木兎の家」と名付けたそうです。
さらに翌年の1920年(大正9年)5月には、隣接地に「洋館の白秋山荘」を新築、その後、1926年(大正15年)5月1日まで8年にわたり居住していました。

「かやの木やま」のモデルとなった境内の榧(かや)の木と榧(かや)の木地蔵尊の前で記念撮影♪当時、白秋が見ていた風景をバックに感慨深げな笑顔です!

散歩道を歩き通して、たどりついたのが「内野邸」。本日のランチ会場は明治36年に建てられたこちらの建物「内野邸」です。
小田原市板橋で3代・100年にわたって醤油醸造業を営んでいた旧家にお邪魔させて頂きました。

内野邸について

この地区のランドマークともなっている「内野邸」の主である内野家は、小田原市板橋で3代にわたって醤油醸造業を営んでいる旧家。
万延元年(1860年)に生まれた初代内野種二郎氏が、酒の醸造業を営んでいた本家から分家してこの地で開業したのが始まりです。
この初代種二郎氏が明治36年(1903年)に建設した木造2階建ての建物は、当時、関東一円で流行した土蔵造りで「なまこ壁」や「石造アーチ」など、和洋折衷の特徴ある意匠が取り入れられた貴重な歴史的建造物です。
内外部ともに耐火・防火対策が施されており、関東大震災の揺れにも耐えました。
醤油醸造業は昭和50年代に廃業。3代目が2年前に他界し、4代目の内野洋一郎氏がこの建物の存廃を試案。地域住民の後押しもあり、一昨年5月に初めて内部を公開。
現在では、「板橋まちなみファクトリー」というボランティア団体の協力のもと、土・日曜日を中心に一般公開されています。
小田原市は文化財にしたい意向があるものの財源が無く、所有者レベルでは維持管理負担の問題を解決するのは難しく、今後の存続は不透明で、取り壊しも選択肢のひとつとなっているそうです。

こちらが本日のランチ。 当時の上流階級の方が召し上がっていたと思われる食材やメニュー、そして白秋が好んでいたメニューを再現して作って下さいました。
メニューの作り方は、明治や大正時代のジャーナリストとして活躍していた村井幻斎の人気ベストセラー小説「食道楽」です。

現在でいうグルメ漫画「美味しんぼ」に相当するグルメ小説の元祖的存在を参考に芦ノ湖湖畔にあるプリンス系列の「龍宮殿」の元料理長、小西正一さんが作って下さいました。
では、当時にタイムスリップ~、いただきます!

食後は、「内野邸」を残そうという保存活動を行っている地元ボランティアの平本さんご夫妻が内野邸の中をご案内して下さいました。




         >>> 次のページへ