エクシブ箱根離宮 散策倶楽部
『学芸員がご案内!美術館めぐりvol.6 熱海番外編
 ~エクシブ湯河原離宮建設予定地と琳派:尾形光琳の国宝揃い踏みを巡る~』
2015年2月26日(木)

正解は「菊」!
まんまるなシルエットの、ピンポン菊といわれる菊の一種がモチーフです。
和菓子にも「光琳菊」と呼ばれるお菓子があるのだそう。
同じく和菓子の「光琳梅」も有名ですね♪

光琳の描く文様には「光琳○○」と付くものがほとんど。
こちらは「舞茸のように見える…」
とのご意見もありましたが、実は「松」!
こちらは「光琳松」と呼ばれます。

こちらは光琳梅!
…と思いきや、枝も一緒に描かれているため、こちらは「光琳枝梅」と呼ばれるそうです。

蝶の描かれるこちらの文様は
「光琳蝶」ではなく、琳派の祖、本阿弥光悦にちなみ、
「光悦蝶」と呼ばれるそう。
光琳の描く文様は、色合い共にどれもモダンですね♪

光琳の過ごした居室の縁側からは玄関を確認することができます。
光琳はここで訪問者を確認し、もしやすると訪問客によっては居留守を使ったり…
といったことがあったのかもしれません。

同じく居室横の縁側から続く、この梯子のような急な階段。
2階にある光琳のアトリエへと繋がっています。
光琳はこのアトリエで、二大傑作である国宝の「燕子花図屏風」、「紅白梅図屏風」を描いたといわれています。

そもそも光琳屋敷は平屋建ての予定でした。
アトリエを2階へ移動したのは、どうしてもお茶室を居室隣に設置したかったからのようです。
手前が居室、写真奥に見えているのがお茶室です!

こちらは台所。
大きな屋敷らしく、かまどがいくつも並んでいます!

台所は非常に天井が高く建築されていました。
復元された昭和60年ごろでなければ、手に入らないような立派な木材ばかりが使用されています。

こちらはモダンなスタイルのはめ込み式の箪笥です。
光琳枝梅のモダンなデザインに加え、収納家具をはめこみ式にするというアイディアは、当時にすると画期的なものだったろうと思われます!

さて、光琳がこだわりにこだわったというお茶室に移動してきました。
正式なお茶室らしく天井は3種類の天井で組み合わされていました。

明かり取りも大きく設けられ、室内には太陽の光がふんだんに入り込みます。
床の間にも明り取りが設けられ、珍しい意匠でした。
にじり口も本来であれば下座に設けられるべきところを中央に位置しています!

実は、このにじり口から玄関の方を覗き込むと、ちょうど始めにご案内した下座の床の間を伺うことができるのです!
上榁さんの推測のお話、とのことでしたが、このお茶室で過ごすことが多かった光琳は、玄関から入ってくるお客さんの様子をここから見ていたのでは…とのこと。
床の間に光琳は自身の作品を飾り、何も知らずに入ってきたお客さんの、作品への第一印象を伺っていたのではとのことです…!
お茶室は、屋敷の中でも特に自然に溶け込んでしまうような、それでいて背筋の伸びるような尊い空間でした。

所変わって、お待ちかねのランチタイムです♪
今回は全室から熱海を一望できるという「リゾーピア熱海」で海鮮丼を楽しんでいただきました!

新鮮な海の幸をおなかいっぱいにいただきます!
ゆっくりお食事を楽しんでいただいたあとには、再びMOA美術館に戻り、自由鑑賞です!

午後は比較的混雑も落ち着き、思う存分に鑑賞を楽しんでいただくことができました。
光琳屋敷すぐ横にあるお茶室でお抹茶も楽しんでいただき、そこにある自然光下の貴重な作品を鑑賞することができたのも、みなさんよい経験となったようです♪

今日1日バスの運転を務めてくださった沢路(さわじ)さん、安全運転を徹底いただき、ありがとうございました!
雨降りの中、たくさんご配慮をいただき感謝しています。


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