エクシブ箱根離宮 散策倶楽部
『学芸員がご案内!美術館めぐりvol.6 熱海番外編
 ~エクシブ湯河原離宮建設予定地と琳派:尾形光琳の国宝揃い踏みを巡る~』
2015年2月26日(木)

さて、屋敷の内部に入らせていただきました。
通常であれば外部からしか見学することのできない光琳屋敷。
今回は特別に中を見学させていただきます!

光琳屋敷に入ってすぐの客間には、ふすまを開けてすぐに床の間があります。
本来であれば、上座にあるべき床の間…
光琳自らが描いた2部の図案から、光琳はあえて下座に床の間を配置したということがわかります。

上榁さんのお話からなぜこの配置にしたのか、光琳の思いを感じ取ることができました。

床の間に飾られているこの図案。
こちらが光琳自ら描いた図面といわれています。
屋敷の図案は2部残っており、これらに修正点がみられることから、光琳が何にこだわりを以って建築にあたったのかがみてとれます。
光琳が自ら書いた図面と、大工さんへの指示書、お茶室の起こし図などを元に光琳屋敷は復元されました。

本来であれば、縁側といえばまっすぐのものが一般的。
光琳のこだわりのひとつとして、このジグザグと折れ曲がった縁側が挙げられます。
ジグザグとした縁側を採用することで、広い土地が必要になるため、光琳屋敷は土地だけでも多額のお金がかけられ、贅沢を尽くされていることがわかります。
ましてや、京の都にこれだけ広い土地を確保できるとは、当時からの光琳への名声が伺えます!

大阪の赤土に、「光琳波」の美しいこの壁には現代にも通じるモダンな印象を受けました。
この模様は京都の唐長さんから版木を取り寄せ、デザインしているもの。
光琳の指示で、当時は白い壁が採用されていました。
壁は取り外し可能なものであったことから、壁一面をキャンバスのように使用する狙いがあったのではと考えられます!

謎を残しながらもお話が進み、どんどん上榁さんのお話へと引き込まれていきます。
みなさん興味津々のご様子です!

畳や襖も忠実に再現し、京都のものを使用しているため、一般的なものよりもだいぶ横長です。

こちらの手前の小さな窓には格子が幾重にも張り巡らされ、外からの細かな光の動きを感じ取ることができます。
人がすっと通り抜けたとき、落ち葉がひらりと落ちてきたとき、その影から趣を感じます。
光琳が考えたこちらの窓は「光琳窓」と呼ばれます。

隣のこちらの襖は千鳥張りといい、和紙が交互に張られています。
強度を増すとともに、あえてその接着面をみせることで、日本人らしい粋なデザインとなっています。

さて、ここで上榁さんからクイズです!
この襖に描かれている丸い文様、一体何の文様でしょう…?
お客様からは柿、牡丹、おもちなど様々な声がありました!


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